第二章「出会い」

ターシスは目が覚めた。彼女は死んだはずだった。暗い部屋の中で棺の中で横たわっているはずだった。明るい草原で,ノルウェーの民族衣装のような赤と黒と白のロングワンピースを着ているはずはなかった。そんなはずはなかった。ありえない。ここはどこだろうか。死の世界だろうか。ターシスは気づいた。人がいる。寝ている。3人。女の子1人と男の子3人。彼らもターシスと同じような服を着ていた。女の子は私の友達だった。ターシスは思った。親友だった。そしてささやいた。「ターハン…」ターハンのまぶたがゆっくり開いた。「ターシス?ターシス?な…の?」ターシスはターハンの方をきつく抱きしめた。「そうよ。あなたの親友のターシスよ。」「で,でも‥あなたは…少女が来て…あなたを生き返らせるとか‥ゲーム…とか」ターハンの顔は火より真っ赤になり、興奮を抑えきれないでいた。すると後ろで猿と馬の声が混ざった用な声がしたが、実際は寝ていた男の子の1人だった。「嘘だろ!ここが本当にゲームなのか?しかも僕の格好…おかしすぎてなにも言えない。」彼はターシスとターハンに気がついていないようだ。「あなたは…」ターハンが恐る恐る聞いた。「こりゃまた驚いた。人だ!しかも2人。僕の名前はレカンド。」「もしかしてタンバさんの子供?」「え!僕の母さんを知ってんだ!」「彼女は素晴らしい人だったわ。私と血の繋がっている人がいない私と,ターハンをとても可愛がってくれたの。」「へぇ。」は,そこにはあまり興味がないようだった。「でもなんでこんなところにいるの?こんな格好で?」「多分,これがミナの言っていたものだと思う。」背後で暗い声がしたと思うと,メガネをかけた男の子がの後ろに立っていた。「今日はたくさん人に会う日だ。君は?」「僕はモキーニ。」「へぇ,変な名前。」レカンドとモキーニが話していると、ターシスが後ろから喋った。「あのね。その…邪魔したくはないけど,モキーニが言いかけたミナっていう人のことを教えて?」モキーニが葬式の部屋で起こったことをターシスに全て喋った。喋り終わった瞬間に今度はターシすが早口で喋り出した。「てことは,あなたが言いたいのは,ここが,ゲームの中で私たちはその質問の答えを見つけなきゃ行けないの?」「そうっぽい。」レカンドが言った。「知ってるかもしれない。」「誰が?」「僕が。」「何を。」「ここがどこかを。」そう言ったきり,レカンドは黙ってしまった。「知ってる。ノルウェーだ。ノルウェーだよ。この民族衣装,ノルウェーに違いない。」びっくりしたターハンが言った。「すごっ。どうして,そんなこと知ってるの?」「僕に教えてくれたんだ。僕の地理の家庭教師が教えてくれた。」「レカンドっておぼっちゃまだったの?」「そうなの?」「そうじゃないの?」「そう?」ターハンとレカンドのおかしな会話にターシストモキーニが笑い始めた。その笑いはターハンとレカンドも加わり,ノルウェーの草原に,彼らの笑いがこだました。すると突然どこからか寒き北風が走ってきた。「寒っ!でもそうか。ノルウェーって北に近い国だったよな、」レカンドが言った。突然声がした。風邪とともに運ばれてきたような声だった。「そう,のんびりしちゃダメよ。ここはノルウェーで,今は冬。ここであなたたちは何かを見つける。ここの次は秋。その次は夏。そして最後は春。春にあなたたちの答えが見つかればあなたたちの勝ち。でも,そんな手ぶらじゃあ無理ね。あなたたちの隣にある4つのバックは一人一人の専用バック。お金とノルウェーの地図が入ってるわ。じゃあ,くれぐれも……」声は消えていた。気づけば,4つの綺麗な刺繍のついたバックが横たわっていた。その中には5000クローネや,羽織り,靴などが入っていた。「とにかく街へ行くしかないね。」モキーニが言ったが,途中で気づいて付け足した。「あ,でも街ってどこだろう。」ターハンが吹いた。「あんたって面白いね。ねえ,あたしたち友達になれそうだねぇ!」誰もなにも言わなかったが,気持ちが反してる人はいなかった。するとモキーニが何か気づいたようだった。「ちょっと待ってよ。これ,何?」彼の目の先には灰色の四角いものがあったのだ。四角い物体は目をメガネザルのようにしているモキーニの前で4つに分かれた。そして1秒の暇も与えずに四角の左と右から小さな棒のようなものが出てきた。そして今,雷に当たったようになっているモキーニの前にある4つの4cmx 4cmくらいの四角に棒が出てきている物体の一つが喋った。「えー。我々はあなたたちを助けるために…えーでありまして。というわけでありまして…えー」「おっどろいた。」レカンドが喋った。「そりゃあ,驚きますね。でも私が喋っている間に口を突っ込むのはいかがなものかと。」苛立たしげに物体は喋った。「えー。我々はあなたたちを助けるために…えーでありまして。というわけでありまして…えー」同じことを喋り出した物体を遮ってターシスが喋った。「あなたちなんなの?その…その…だって…生き物には見えないし…」「生き物に見えないときは大抵生き物ではないんですよ。私たちはあなたちのいうところのロボットですよ。それも高能の。」すると他のロボットが喋り出した。「まだぜんぜん本題に入ってないじゃない。ごめんなさいね!これは喋りすぎるのよ。いい?私たちはそこの物知りなお坊ちゃんの言う通りノルウェーにいるわ。今は午後14時20分23秒。もう少しで暗くなるわ。早く宿を見つけましょう。」「もうすぐ暗くなる?まだ2時なんでしょ?」「ええ。だけどここはノルウェーよ。覚えておいて。さあ。あなたちは私たち一つ一つ手に載せて。私たち歩けないのよ。足がないもの。」そしてターシスはこのお喋りなロボットを手に乗せた。「名前は…あるの?」「ないわ。ある必要もないわ。」するとターハンがわって入った。「でもあなたたち完全に瓜4っつ。名前をつけたほうが私は懸命だと思うわ。それに名前がないなんて存在しないのと同じだわ。」ターシスは彼女のを“チャター(お喋り)”と名付けた。レカンドは彼のを“フェオース(僕のミドルネームなんだ)” モキーニは彼のを“ブック(本)”,そしてターハンの番になると急に彼女のロボットが喋り出した。「私の名前はデシよ。デシにして。」「わかったわ。」ターハんはデシを優しく抱き上げた。「さあ!行こう!宿を見つけに!」

次回は…

第三章:宿